ヨーロッパの電源プラグ

理系の教員なので、理系らしいブログテーマとして、日本では100Vの電源コンセントの話をしたいと思います。ヨーロッパ各国の電源電圧は200Vを超えていることが多く、携帯電話やデジカメなど日本の製品を海外に持っていった際に充電をどのようにするか悩ましいと思います。まずは、日本の電化製品のコンセント形状を写真を見てみましょう。

(留守番電話機)    (iPhone充電器)    (デジカメ用)

どれも同じように見えるかもしれませんが、実は2種類に分類することができます。具体的には、留守番電話用のコンセントは昔からあるタイプのACアダプターであり、iPhoneの充電器やアンドロイドと同じUSB口を持つデジカメ用のコンセントプラグは、専門用語でスイッチング電源と呼ばれるものです。どちらも、交流電圧を直流電圧に変換するという点では同じなのですが、その原理が違います。
若干大きめの昔ながらのACアダプタは、中にトランスとも呼ばれる電源コイルが入っており、コイルの巻き数で交流電圧の大きさを変換しています。そのため、目的の直流電圧を得るためには、適当な巻き数の比率が必要であり、日本の100V用に作られた製品は、海外の200Vなど違う電圧では使用できないのです。
ドイツへの留学時に米を炊飯器で炊いて食べたいと考え、3合炊きの小型炊飯器とドイツの230Vを100Vに変換するトランスを持っていったことを思い出します。炊飯器という大きな電力を使用するトランスは、値段も高くなるだけでなく、大きくもなり、重さも数kgしたと思います。それをリュックに入れ、お米のためと担いで運んだ記憶があります。
さて、では、携帯の充電器をよく見てみましょう。Input: 100-240V~50-60Hz こんな記述が読み取れるでしょう。この電源プラグが、100Vから240Vまで対応可能であるという意味です。スイッチング電源と呼ばれる半導体の技術が、海外でも使用できるコンセントプラグを可能としています。
難しくなってしまいますが簡単に原理を紹介すると、作りたい直流電圧に対して、電圧が低いときはONにして、電圧が高いときはOFFにする、そんな半導体素子を準備します。このONとOFFのスイッチングを高速で実施することで、直流電圧を生み出しているのです。そのため、元の交流電圧が何Vであるかといったことも考える必要がなく、また、小型で軽量の半導体素子で電圧の変換が出来ているのです。スイッチング電源は、この15年ほどで急速に広がった技術で、もっと早く広がっていれば、炊飯器のための重いトランスを運ぶ必要もなかったかもしれません。

最後に、電源電圧は対応可能でも、コンセント形状が違うことには注意して下さい。ドイツやスイスなど各国でもコンセントの形が違うのですが、グランド端子を使用せずにコンセントにプラグを差し込むだけであれば、簡単なプラグ変換だけで対応可能です。下の海外プラグも100円ショップで買ったものですが、iPhoneやデジカメの充電には使用できるのではと思います。

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