ビール紀行(Bierreise)

ドイツに在住していたとき最も楽しんだことはビールといっても過言ではありません。ドイツのビールは、基本的には、地元に根差した地ビールであり、また、各地に特徴的なビールが存在します。有名なものとして、日本人駐在員の多い街であるデュッセルドルフ近郊のアルトビールなどでしょうか。そんなビールを飲み比べる旅として、Bierreiseという単語がドイツ語にはあります。Bierがビールで、Reiseが旅という意味です。ドイツ各地を巡って様々なビールを飲んで楽しみたいのですが、ヨーロッパ研修旅行といった限られた時間では、今回は、ドイツ南部しか周れません(フランクフルトは南部ではないが)。そんな、ドイツ南部のビールを紹介します。
大学の講義でも、講義の90分以外に予習と復習をすることが重要なのですが、ドイツビールの予習をしました。たまたま、近所のスーパーへ買い物に出かけた際に見つけて、思わず買ってしまったビールです。

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レーベンブロイは、ドイツ南部のミュンヘンにある醸造所です。ラベルにカタカナで醸造所名が書いていることから分かるように、日本のビール会社とライセンス契約し、日本で製造されたビールのようですが、ドイツ気分を高めるビールとして最適ではないでしょうか。本場でもっと美味しい(十分美味しいのだが)ビールを飲もうと・・・
さて、上述のレーベンブロイのビールは、日本の一般的に飲まれるラガービールの系統ですが、ミュンヘンのビールといえば、白ビールが有名でしょう。白ビールは、一般的に上面発酵のビールであり、ラガーとは異なり、イギリスのエールやデュッセルドルフのアルトビールの仲間になります。ここで、普通の白ビールの紹介をせず変化球として、Weizenbierを紹介します。

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ドイツ南部でもミュンヘンの方は、白ビール(ドイツ語では、Weissbier)という表現を使用し、この言い方は、ドイツ全土に広がっているのですが、同じドイツ南部でもシュツットガルトの方では、小麦ビール(Weizenbier)という言い方をします。Weizenというドイツ語単語を見て、スーパーで飛びついて買ってしまう日本人は稀有だと思いますが、白ビールだと思い、グラスに注いだら、白くなかったではありませんか。白ビールも小麦から作られるので小麦ビールと同じ意味なのですが、白ビールが白い理由は、ビールの中に酵母が残っているからです。そのため、酵母という単語Hefeをつけて、シュツットガルトでは、白ビール Weissbier を Hefe Weizen と呼んだりもします。しかし、小麦から作ったビールでも酵母を濾過すれば、ラガービールのような色になるわけで、濾過した小麦ビールのことを Kristall Weizenと区別していました。
Hefe Weizenの酵母の味わいも楽しいのですが、夏の暑い日に、さっぱりした味わいのKristall Weizenを楽しむのも、また、至福の時間であり、夏のドイツに思いを寄せて、マニアックなWeizenを飲み干していました。

ユーロコイン

ヨーロッパのお金の話をしたいと思います。私がドイツに在住し3か月ほど経った2002年にユーロ通貨の流通が始まりました。ドイツマルクというドイツでしか通用しない通貨からヨーロッパの様々な国で共通して使用できるユーロへと変わった歴史的瞬間に立ち会ったのです。ドイツに在住している間、オーストリアやフランスには車で出かけていったこともありましたし、イタリアやギリシャ、ポルトガルなどへ飛行機で遊びにいったのですが、ユーロという共通の通貨のおかげで両替の手間が要らなく、また、ユーロでの高い・安いの金銭感覚(ドイツでの金銭感覚)をそのまま他の国でも為替を計算しなくても通用できるというのは、非常に楽でした。
そんなユーロ通貨が流通して数か月経ったある日、見知らぬコインのデザインが財布の中のユーロコインで見つかりました。ユーロの紙幣は各国共通なのですが、コインのデザインに関しては、片面は同じですが、もう一面は各国で独自のデザインをしていたのです。それまでドイツのデザインしか見てこなかったのが、観光客がドイツで使用したのか、イタリアのデザインが紛れ込んでいたのです。それ以降、様々な国のユーロコインを集めようとスーパーでの買い物後の小銭チェックや、ポルトガルまでコインをコンプリートしようと旅行にまで出かける始末でした。折角なので、そのコレクションを紹介しましょう。

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コインを収集する専用バインダーまで買って、各国の通貨を元にその国のことに思いを馳せていました。滞在した2年半の間に、ほとんどのコインを集まることができたのですが、例えばフィンランドの1セントと2セントコインが揃いませんでした。これは、フィンランドは物価が高いため1セントや2セント単位での物が販売されていないそうで、フィンランド国内でも1セントと2セントのコインがほとんど流通していないと聞きました。
2002年に12か国で始まったユーロ通貨ですが(正確には、バチカンやモナコなども)、現在、ユーロの加盟国だけでなく、ユーロ通貨を使用する国も大きく広がっているようです。そんな1つのヨーロッパの象徴であるようなユーロコインを旅行中に集めてみても(記念に写真で撮っておくだけでも)、面白いかもしれません。

 

プロフィール

匿名でのブログを始めたいと記載した直後からプロフィールを書くというのは矛盾に満ちているように思えるが、どのような人間がヨーロッパ研修旅行を引率するのかある程度説明しておいた方が、このブログ情報源が、どのような方向に偏った記事であるのか把握できるだろうと思い、人物が特定されない範囲で(正確には、私が専門外のことでも、がんがん記事を書けると思える程度の匿名性で)、海外経験や専門分野の話をしたいと思う。

トップページからリンクを辿れば、どこの大学のどこの学部であるかまで容易にリサーチ可能なのであるが、簡単に大学・学部を紹介する。一般的に教養学部と称されるような、最近では、リベラルアーツなど横文字で新奇性を表現する大学もあるが、教員養成などを主目的の一つとした文系から理系まで幅広い分野の教員が集まる学部になります。私が文系か理系かと問われれば、完全な理系学科の教員であり、その中でも、理論系と実験系に分類できる分野の実験系理系分野です。ですから、普段は、大学で科学実験をして、その結果を解析し、成果を発表するというのが、仕事となります。
先日、文系の知り合いの先生(同じキャンパスの同じ学部の教員)が、たまたま、研究室を訪れたのですが、せっかく、キャンパスの外れにあるラボまで来て貰ったので、実験室を案内しました。電子顕微鏡や分光装置が並ぶ研究室を見て、普段の研究世界が抜本的に違うことに驚かれ、文系から理系まで一つに集まるキャンパスの面白さを感じた機会でした。ちなみに、その先生の専門は、古い辞書だそうです。
さて、私自身が研修旅行の引率を引き受けた理由の一つが、普段、専門科目の講義担当しかしていないため、講義を履修している学生のほとんどが理系の学生であり、文系の学生と接する機会を持ちたいと考えていたこともあります。文系の学生にとっては、理系の先生と寝食を共にする機会もないでしょうし、せっかく、文系と理系が仲良く学んでいる学部に入学したのですから、理系の大学教授がどんな人物であるのか(私が典型例ではない気がしますが)、知ってみるのも良いのではと思ったからです。(ヨーロッパの異文化に対するカルチャーショックより、理系の教授に対するカルチャーショックの方が大きかった場合は、問題ですが・・・)

また、研修地がヨーロッパであるというのも私にとって重要な意味を持ちます。実は、ヨーロッパの中でもドイツに2年半ほど住んでいた経験があります。ドイツ南部のミュンヘンとシュツットガルトの間に位置する田舎町の大学で博士研究員(ポスドク)として研究していました。大学ではラボのメンバーが英語ができるのでコミュニケーションには事足りるのですが、滞在先が田舎町であり、スーパーマーケットやレストランで英語が通じないこともしばしば。サバイバルのためのドイツ語日常会話が2年半で身についてしまった状態でした。
そんな2年半のドイツでの研究生活の中、ドイツ各地はもちろん、フランス、スイス、イタリアなどヨーロッパ各地を訪れる機会もありました。研修旅行中の自由行動でどこに行きたいか迷ったときは、オーソドックスな観光地は旅行会社の添乗員に聞けばよいですが、マニアックな場所に行きたい場合は、私に尋ねて貰えれば、理系教員ならではの変わった意見に出会えるかもしれません。

はじめに

比較的大きな私立大学で教員をやっています。研究大好き人間なので、研究を続けていたら、大学教員になっていたのですが、研究だけが大学の使命ではありません。授業料を頂いている学生のために教育をするのが最優先です。教育機関である大学にとっての研究の位置づけを考えているのですが、少なくとも、私は、研究者である私自身を通じて教育をしたいと思っています。つまり、これまでの20年ほどの研究者人生で培ってきた知識や経験・理解を伝えることが教育であり、研究があるから教育に深みが生まれるのではないかと考えるようになってきました。

そんな大学での研究・教育生活中に学生担当の委員長の先生から研究室に電話がかかってきました。今年のヨーロッパ研修旅行に引率者として同行してくれないかという依頼でした。ヨーロッパ研修旅行とは、夏休み中に学生40名ほどで教職員と旅行社の添乗員が引率し15日間ヨーロッパ各国を周遊する企画です。委員長の先生は、2週間ほど前にも一緒にお酒を飲んだような親しい先生でもあり、引き受けることになったのですが、せっかく、引率するのであれば、しっかりと研修する旅行にしたいと考え、このブログを始めることにしました。ヨーロッパに関する雑学から旅行における心得など私の意見を書き込んでいきたいと思います。
このヨーロッパ研修旅行では単位認定されません。語学研修など大学での講義として単位認定される海外での研修行事も別に存在するので、単なる旅行だと考えがちですが、大学教員である私も同行するのですから、添乗員付きの単なる旅行にせず、有意義な研修になるよう努力したいと思います。

ずいぶん、偉そうなことを書いてきましたが、研究者として専門に関する知識は豊富なのですが、それ以外は・・・
専門外の内容に関しても気楽にアップできるよう大学内のサーバにこのブログを置かずに、レンタルサーバを自費で借りて、匿名で投稿していきます。内容に誤りがありましたら、すぐに訂正したいと思いますので、お気づきになりました方は、是非、ご連絡下さい。よろしくお願いいたします。